経理の入口としての簿記。独立後に簿記をわからないままにしておくかどうか

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※簿記の教科書たち – by iPhone15

フリーランスや会社をつくって独立すると経理(=お金の管理)も早めに手をうっておきたいものです。

その経理の入口ともいえるのが簿記。その考え方をまとめてみました。

目次

経理の入口=簿記とは?

簿記とは、「帳簿」に「記録」すること。
その1文字ずつをとって「簿記」です。

「仕事上の取引を記録していって、集計したものを、決算書のような形式にまとめる」

「この一連の流れ」=「簿記」とイメージしておけば問題ありません。


とはいえ、

「帳簿??」
「記録って??」

と思われるかもしれませんが、そこは気にしなくても問題ありません。

「帳簿」は、紙の時代の名ごりでそう呼ばれているだけ。
今やパソコンでデータを扱う時代。データと読み替えてもいいでしょう。


ただ「記録」には、一応のルールが決められています。

その1つが「仕訳(しわけ)」です。

「仕分」ではなく「仕訳(しわけ)」ではあるのですが、分けるという意味合いではどっちも同じです。

仕事上の取引は、すべて「仕訳」で「記録」していきます。

・会計ソフトに直接入力する
・Excel(CSV)を会計ソフトに取り込む(インポートする)
・ネットバンクなどとのデータ連携で会計ソフトに登録する

といったことは、すべて「仕訳」で記録することを意味しています。

入力するというときは、この「仕訳」を意識しておきましょう。

仕訳のルールって?

スポーツのルールのように仕訳にもルールがあります。

・右と左に分ける
・右と左に名前をつける
・名前ごとに分類する

といったことは、会計ソフトの都合ではなく、あくまで「仕訳」のルールからきていることです。

たとえば、
・Amazonで2,000円の本をクレジットカード(プライベート用)で買った。

という場合の仕訳で考えてみます。

右と左に分ける

仕訳では、仕事上の取引を右と左に分けます。

「Amazonで2,000円の本をクレジットカード(プライベート用)で買った」なら、

  左         右
〇〇〇 2,000円 / △△△ 2,000円

と右と左の2つに分けて記録するのです。

なぜ2つに分けるのか。
その理由は、簿記のゴールにあります。

前述のとおり、簿記とは、「記録して→集計して→決算書にまとめる」という流れと言いました。

ゴールは決算書にまとめること。何にどうお金を使ったのかがわかるようにするために「何を?」と「どうやって?」を分けておく必要があるためです。

・何を?→「本を」
・どうやって?→「プライベート用のカードで」

と2つに分けると、左〇〇〇と右△△△に入れることができるのです(複式簿記と呼ばれているものです)。

そこに入れるのが次の「名前」です。

右と左に名前をつける

右と左に分けた仕訳には、〇〇〇と△△△のところに名前を入れます。
名前=勘定科目というものです。

名前をつけておかないと、記録の次にある「集計」ができないからです。

「Amazonで2,000円の本をクレジットカード(プライベート用)で買った」なら、

  左         右
〇〇〇 2,000円   / △△△ 2,000円
 ↓            ↓
新聞図書費 2,000円 / 役員借入金 2,000円 

のように勘定科目をつけます(フリーランスだと右の名前は「事業主借」とちょっと変わります)。


それと、正しく集計するためには、使う勘定科目は統一しておかなければなりません。

たとえば、
・3/10にAmazonで本を買った
 → Amazon 2,000円/役員借入金 2,000円

・3/20にA書店で本を買った
 → A書店 2,000円/役員借入金 2,000円

・3/30にAmazonで本を買った
 → Amazon 2,000円/役員借入金 2,000円

と仕訳で記録していき、これを集計すると、
・Amazon  4,000円
・A書店   2,000円
・役員借入金 6,000円

となります。これでもいいといえばいいのですが、Amazonといっても「何を?」がわかりにくいですし、本という買い物であればA書店と分ける意味もありません。

同じ内容の取引なら勘定科目は統一して使っておきましょう。
「新聞図書費」でも「書籍代」でも「書籍投資」でもネーミングは自由です。会計ソフトの勘定科目は自分で変えることもできますから、自分がわかりやすい名前に変えておくのも工夫の1つでしょう。

わたしの場合、
・本代→「書籍投資」→決算書では「新聞図書費」
・セミナー代→「セミナー投資」→決算書では「研修費」
・パソコン関係の投資→「IT投資」→決算書では「消耗品費」(金額によっては工具器具備品)

などとしています。

仕訳に使う名前は自由ですが、いったん使いはじめたら統一して使っていきます。
感情によって勘定科目を使わ分けないようにしましょう。

名前ごとに分類する

決算書にまとめるためには、BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)に分類できるように勘定科目を使い分ける必要があります。

BS(貸借対照表)だと、「資産」「負債」「純資産」の3つの属性があり、仕事を続けていく限り、翌期、翌々期…へと引き継がれていきます。

「資産」の属性では
・現金預金
・売掛金
・未収入金
・工具器具備品
・車両運搬具
といった勘定科目。

「負債」の属性には
・買掛金
・未払金
・長期借入金
・役員借入金(会社の場合)

「純資産」の属性だと、
・資本金
・繰越利益剰余金

といった勘定科目が各属性ごとで決まっています。

PL(損益計算書)でも、
・売上高
・売上原価
・販売費および一般管理費
・営業外収益
・営業外費用
・特別利益
・特別損失

といった属性ごとに使える勘定科目があります。


このように
・右と左に分ける
・右と左に名前をつける
・名前ごとに分類する

というルールがあるので、1つ1つの仕訳を勘定科目で集計して、勘定科目の属性で集計して、結果BSとPLにまとめることができるのです。

会計ソフトはこの一連の流れを自動でやってくれるので、それを自分の会社の取引で確認してみると、「なんで簿記を知らなきゃいけないの?」のギモンにも答えはでるはずです。

わたし自身、簿記の「ぼ」の字もわからないまま、公認会計士試験の勉強をはじめたものの、その後に会計ソフトに触れるようになって、簿記の流れを肌で感じとることができました。

独立後に簿記がわからないままでもいいのかどうか

独立後によく見かける仕訳のパターンをまとめてみました。
ざっと見てみていただきながら、簿記がわからないままでもいいのかどうか確認していただければ。

・売上げた
 売掛金 XXX / 売上 XXX

・売上代金が入金された
 普通預金 XXX / 売掛金 XXX

・売上金の一部が前金で入金された(代金の一部は仕事提供後に請求)
 普通預金 XXX / 前受金 XXX

・前金を受け取っていた仕事を提供しおわった
 前受金 XXX / 売上 XXX
 売掛金 XXX
 
・仕事で使う買い物、サービスを受けた(代金はプライベートのカード、現金、モバイルSuica、ポイントで払った)
 〇〇〇 XXX / 役員借入金 XXX
(プリーランス・個人事業主なら「〇〇〇XXX / 事業主借 XXX」)

 〇〇〇には、「何を?」がわかる名前(勘定科目)が入ります。
 例:
 パソコンや備品関係→消耗品費
 打ち合わせ→会議費
 電車やタクシー代などの交通費→旅費交通費、交通費
 セミナー参加費→研修費
 教材購入代→研修費
 クラウドサービスなどのサブスクリクション料→支払手数料
 スマホの通信代→通信費

・Suica等にチャージ(プライベートのクレジットカードで決済)
 仕訳なし

※厳密には、預け金や仮払金/役員借入金や事業主借と仕訳する考え方もありますが、プライベートから支払ったとすれば、チャージ分もプライベートとして考えることはできます。この場合、仕事上の取引は発生していないと考え、チャージした残高を仕事で使ったときにだけ仕事上の取引があったと考えることができ、経費にすることも考えられます。

・決算月の翌月分のサービス代金を決算月までに支払った
 前払費用 XXX / 普通預金 XXX (XXXは決算月の翌月以降の月数分を月割計算した金額)

※厳密には、毎月やることが理想ではありますが、金額が小さいなど気にする必要性がないのであれば決算時だけ仕訳するのでも良いかと。

ほかにも、仕事の内容などで「ならではの」特殊なものもありますが、まずは基本パターンとしてこれくらいを理解しておいていただければよろしいかと。

こういったパターンを踏まえて、簿記をわからないまま、仕事を続けていっていいものか判断してみていただければ。

なにごとにも原理原則のような話はあり、経理では、簿記、仕訳に原理原則があるということです。

会計ソフトでご自身の仕訳の一覧をざっとでも確認してみるのもおすすめです。
自分のやってきた仕事の数字でもあるわけですから、学びの教材としてはうってつけのはずです。

記録→集計→決算書にまとめるのが簿記の流れ。

集計以降は会計ソフトが自動でやってはくれますが、記録してくれるのは一部です。
・こまめに記録しておく(できれば毎日)
・複雑になりそう取引なら仕訳をイメージしてみる
・シンプルな簿記になるように仕事の流れも工夫する

というように、仕事の流れを見直す糸口にもなります。

経理はお金を生み出す仕事ではないかもしれませんが、お金を使い守ることも大事にしていきましょう。


■編集後記
昨日は朝タスクのあとは、車で訪問先へと移動。
道路は混んでいましたが晴れていたので気持ちよく運転。運転中はセミナー音声や音楽(ほぼFFシリーズのBGM)を聞くことが多いです。

■昨日の1日1新
・DiDi(アプリ)
・パンドラ AI戦争(Hulu)

■息子(11歳)
月曜の学校はなんとか行けたようですが、火曜は火曜で放課後デイサービスの日。これも息子にとっては関門のようです。昨日は公園で遊ぶことができて楽しかったみたいでひとまず良かったです。


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