総務省のサイトで「地方公会計の取組支援人材ネット」が公表されています。
地方自治体で作成することになっている決算書。
その作り方がよくわからない・勉強している時間がとれない。そんな地方自治体担当者向けにこれまでの経験から思うところを書いてみました。
地方公会計とは【ざっくり解説】
地方公共団体では、数年前から作らなければならない決算書が増えています。
作らなければならなくなっている決算書とは、民間と同じ複式簿記を前提とした財務諸表です。
国や地方公共団体の決算の仕組みはもともと、
・予算に対して収入がいくらだったか(歳入)
・支出がいくらだったか(歳出)
がわかればよかったわけです。
お金の出入りだけを記録する点では、よく家計簿と同じと言われていました。
しかし、人口減少問題や公共施設の老朽化問題などで「家計簿じゃダメだよね」ということで、
「民間企業と同じように複式簿記を使って決算書を作りましょう」となったわけです(かなりざっくりですが)。
結果的に地方公共団体にとっては、やるべき仕事が増えたことになります。
従来通りの決算書だけでなく、 複式簿記を使った決算書も作らなければならないわけすから。
そのうえ、複式簿記を使って決算書を作っておしまいというわけではありません。
その決算書を使って、
・施設別での業績はどうか
・今の利用料金でやっていけるか
といったことを分析し、住民サービスに役立てることがゴールといえます。
ですので、地方公共団体にとっては、
・複式簿記がわかる
・決算書がわかる
・決算書を使った分析ができる
ことが求められることになります。
確かにこれができれば理想ではありますね。
ただ、地方公共団体の場合、これが理想止まりになってしまう。そんな事情もあるようです。
地方公会計の取組支援人材ネット【ざっくり解説】
まず、地方公共団体といっても大都市から〇〇村というように、規模が大きく異なるものです。
規模が違えば職員の数も当然違います。
一般的に決算関係は財政担当の仕事になりますが、
村などでは1人(手を動かす人数)しかいないこともよくあります。
地方公共団体でもマンパワー不足という問題があるわけです。
これに加えて、民間よりも人事異動のサイクルが短いという問題もあるように思えます。
公務員という行政サービスを担う仕事柄、いろいろな部署を経験しないといけない事情もあるのかもしれませんが。
異動のサイクルが短いと、例えば、「複式簿記がわかるようになった」→「決算書の意味も理解できた」→「他部署へ異動」となる可能性があるわけです。
こうなると、経験値はそうそうたまりません。
もちろん、引継ぎやマニュアルなどで補うことはできるかもしれませんが、限界はあります。
そこで「地方公会計の取組支援人材ネット 」が出てくるわけです。
ちなみに、「地方公会計の取組支援人材ネット」のおおまかな流れはこんな感じです。
地方公共団体 | 地方公会計に詳しい自治体の現役職員やOBを総務省に推薦 |
総務省 | 推薦にもとづいて専門人材リストを公表 地方に財政措置(コンサル料を工面) |
専門人材 (現役職員・OB・OG) | 地方公会計をコンサルティング 謝金の受取り |
こちらが総務省の公表物です(わかりやすいかといわれれば正直微妙ですが)
質問と回答を蓄積。独自のナレッジを作り上げる
決算書の作成~分析まで一通り自力で対応する自治体がある一方で、
決算書の作成から外部業者に委託(いわゆる丸投げ)して作ってもらう自治体もあります。
マンパワーが不足する規模の小さい自治体では致し方のないことです。
ただ、外部業者に作ってもらうとしても気を付けたいのは「ただ受け取る」というもの。
もちろん納品されれば点検するのでしょうが、そういった形式的な点検だけでは非常にもったいないです。
せっかく作ってもらうわけですから、わからないことをどんどん質問しましょう。
質問すれば答えがもらえます。これを繰り返せば独自のナレッジが蓄積されていくはずです。
そして質問するためにも納品された決算書と関連資料をよく見てみましょう。
ひらがなの練習帳で「なぞる」というのがありますが、この練習法は決算でもおおいに役立ちます。
その数字がどのようにしてできあがったか、決算書から基礎資料にさかのぼるように数字の流れを追ってみましょう。
※以前、道内の自治体でこうしたご支援をしていた中で、数字がもつ意味、どうやってこの数字が決算に出てきているかをコツコツとお話させていただいた経験があります。
その担当者は翌年異動になりましたが、こうしたナレッジを記録しておくことで、人事異動になっても役立つものです。
ちなみに、公表されている専門人材登録者リストに道内は掲載されてないようです。。
■編集後記
今日は朝タスクのあと終日外勤(会計士業)でした。
■息子(7歳6か月)
今日も元気に登校。登下校は妻が付き添っています。
夕食の焼うどんは手をつけず、給食がうどんだったようです。
■1日1新
Googleのとある確認(セキュリティ関連)